ボールボーイ
皆さん、こんばんは。
最近、Jリーグでの一件をキッカケに、 ボールボーイ に関する事象が話題になっています。
ボールボーイと言えば…。
僕には、こんな経験があります。
ボールボーイと言えば。
僕がレイソルJrだった頃、年に数回まわってくるボールボーイをやることが、僕ら全員の夢でした。
心からの憧れの存在がすぐそこにいる感動は、言葉では表せないほどです。
しかし、当時のボールボーイには1つだけ約束がありました。
・選手に直接ボールを渡さないこと。
拾ったボールは係員に渡し、係員が予備のボールを渡すというルール。
忘れもしない。あの日の相手はベガルタ仙台でした。
柏レイソル1点リードで迎えた後半ロスタイム。僕の目の前にボールが転がって来ました。
僕は、そのボールを係員に渡そうと拾って引き返そうとした時、後ろから怒号が飛んできました。
「おいコラッ!!出せよ!!!」
その選手は、日本代表にもなったことのある有名な選手で、仙台の選手の中では一番間近で観たかった選手でした。
ルールを守っただけなのに、憧れの存在から怒鳴られたあの時のショックを、僕は一生忘れません。
今となっては、焦る気持ちは確かに分かります。
でも、ボールボーイをやってる子達が、どれだけの憧れと、自分の夢を乗せてそこにいる選手達を見ているか。
その気持ちは、それ以上に分かります。
僕が長年プレーした海外では、ホームゲームではボールボーイは平気でボールを渡さなかったり、遠くに投げたり、少しでもホームチームが勝てるようにと、日本では考えられないような時間稼ぎをします。
実際に僕が経験したものでは、2013-2014シーズン最終戦。
リーグ優勝を懸けた直接対決で、得失点差で首位に立つFKスティエスカ・ニクシッチのホームに乗り込んでのアウェイゲームで、それは起きました。
1-1で迎えた終盤。
引き分け以下でV逸の僕らは、一気呵成に猛攻を仕掛けていました。
そんな時、ボールがタッチラインを割り、ボールボーイの手に。
味方選手がボールを要求しながら、タッチラインに走っていきます。
しかし、一向にボールは渡されません。
味方選手がボールを取りに行くと、
ボールボーイは逃げ回ります。
最終的には、ボールは遠くへ投げられ、それを拾いに行ってようやくスローインができました。
それが、スローインの度に繰り返されました。
審判が注意したり、日本では何か対策がとられるはずですが、海外では、審判も買収されてすいるということが少なくないのです。
つまり、海外のアウェイゲームは、リアルアウェイゲームです。
ボールボーイは、当たり前のように、あからさまにホームチームに有利に働くような行動をとります。
しかし、海外では、それも含めての アウェーゲーム という捉え方が根底に根付いていました。
アウェイゲームで優勝争いをしなくてはならない状況にした時点で自分達の負けだと、抗議することなく、潔く受け入れていました。
「勝つ」ということが、どれだけのモノなのか、彼らはDNAレベルで染み込んでいるからです。
しかし、日本は違います。
それを見習って欲しいとは、僕は微塵も思いません。
ボールボーイをやる子供たちは、「夢と希望」そして「感動」を胸に抱いて、そこに立っている、ものすごく近くて、ものすごく遠い存在を見ています。
その彼らに、どうか夢を見させてあげる90分が、毎試合行われることを僕は心から祈っています。
そして、こういう経験をしてきたからこそ、そういう存在として、ピッチの上でそういう振る舞いを常にできる選手、人間でいられるように、僕自身はこれからも努力し続けていきたいと思います。